香りを感じた瞬間に、今いる空間から別の空間へ飛んでいける。
そんな香りを作りたい!と始まった香り決めの作業。
例えば、根詰めて仕事や家事をしている時、一瞬でどこかへ行けるならば私はどんな空間へ飛んでいきたいだろう。そう考えた時、真っ先に頭に浮かんだのは草原の風景でした。
草原といっても乾いた壮大な雰囲気の場所ではなく、日本の夏特有の朝露が残っているような原っぱ。
イメージは、幼い頃、お昼ごはんに呼ばれるまで何時間でも駆け回った近所の青々しい草むら。
そんなどこか懐かしく日本らしい草原の香りを感じることができたら、ちょっとした休憩時間にも一瞬で気持ちがリセットされる気がする。
私自身、グリーン系と言われる香水やルームフレグランスが好きで、いくつか持っているのですが、もっともっとグリーンをぎゅっと詰め込んだようなものは作れないか。
驚くほどグリーンそのものの香りを作りたい。
そうして1本目の試作品が出来上がりました。その香りを初めてチームで試した時、ディレクターのHさんが「強烈な原っぱの香りがする...!」と言ったこと、未だに忘れられません。私がまさに思い描いていた原っぱという形容が一言目に出てきた!これは、今までにないグリーンで満たされるような香りにできるかもしれないと思いました。
その後、八ヶ岳南麓の香水工房の方と試行錯誤を重ね、これだ!という香りが出来上がりました。香りの名前は『Dizzy Green』。
"Dizzy"とは日本語で"目が回る"/"めまいがする"という意味。まさに眩暈がするほどのグリーンの香り。
『Dizzy Green』が完成した後に、某百貨店の香水売り場で「このブランドで一番グリーンを感じる香りはどれですか?」といくつか香りを試させてもらいました。どの香りも本当にそれぞれに上品ですてき。
でも、私たちの『Dizzy Green』ほど、グリーンがせまってくる香りはなさそうです。 かなりのポジティブ思考の持ち主である私は『グリーン系香水界を制したかもしれない。』と発売前にも関わらず確信したくらいです。
一瞬で原っぱを駆け回っていた子どもの頃へ戻るような感覚を、『Dizzy Green』でご体験いただけましたら嬉しいです。